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「自社の取り組みをブログで発信したい。でも、お客様のことをどこまで書いていいのか分からない」——事例を発信しようとした会社が、最初に立ち止まるポイントです。
RENOYのブログは、実際の案件で私たちが体験したこと、つまり一次体験を記事の核にしています。ツールの一般論ではなく、現場で何に詰まり、どう判断したかを書くことに価値があると考えているからです。
その一方で、実案件を扱う以上、守秘は絶対です。私たちは「顧客名・特定できる固有名詞・具体的な金額は出さず、業種・規模・地域に置き換える」というルールで運用しています。この記事では、そのルールの中身と、守秘と具体性を両立させる考え方を紹介します。
この記事の結論
- 実案件の発信では、顧客名・固有名詞・金額を出さない
- 伏せた情報は業種・規模・地域に置き換えて具体性を残す
- 何を伏せるかと同時に、何に置き換えるかを先に決める
なぜ実案件を発信するのか
中小企業の経営者が知りたいのは、「AIで業務が効率化できます」という一般論ではありません。自社と似た会社で、何が起きて、どう解決したのか、です。
似た規模、似た業種、似た悩みの事例を読んだとき、はじめて「うちでもできそうだ」と判断できます。だからこそ、私たちは一次体験を記事の中心に置いています。
ただし、ここに矛盾があります。具体的に書くほど読者には役立つ一方で、具体的に書くほど顧客が特定されるリスクも高まるのです。この矛盾をどう解くかが、事例発信の最大の課題です。
事例記事の匿名化とは:伏せるだけでは足りない
事例記事の匿名化とは、顧客が特定されないように情報を加工したうえで、記事としての価値を保つことです。
多くの方は、匿名化を「社名を伏せること」と捉えます。しかし、それだけでは半分です。私たちが重視しているのは、伏せた情報の代わりに何を書くかです。
| 伏せる情報 | 置き換え先 | 狙い |
|---|---|---|
| 顧客名・社名 | 業種 | 読者が自社と同業か判断できる |
| 具体的な金額 | 規模 | 自社との近さを判断できる |
| 特定できる固有名詞 | 地域 | 環境の近さが伝わる |
たとえば当ブログの公開済み記事では、「約14,000行のExcel VBA」のように仕組みの規模は示し、社名は出していません。規模が分かれば、読者は「うちのExcelもそのくらい複雑だ」と自社に重ねられます。社名がなくても、具体性は失われていないのです。
伏せるだけの匿名化が失敗する原因
匿名化でよくある失敗は、記事を書き終えてから、危ない部分を消していくやり方です。
この方法だと、社名を消し、金額を消し、固有名詞を消した結果、「ある会社で、ある業務を、効率化しました」という中身のない文章が残ります。守秘は守れても、読者にとっては何の判断材料にもなりません。
原因はシンプルで、消すことしか決めていないからです。消した穴を何で埋めるかが決まっていないため、文章が抽象的な言葉で埋まってしまいます。
逆に、置き換え先が先に決まっていれば、書き手は最初から「業種と規模で語る」前提で文章を組み立てられます。後から削る必要がないので、文章の具体性も保たれます。
守秘ルールの作り方:置き換え先まで先に決める
私たちが持ち帰っている判断軸は、何を伏せるかだけでなく、何に置き換えるかまで先に決めておくことです。手順にすると次のようになります。
- 案件の話を洗い出す:記事に使いたいエピソードや判断の経緯を、まず全部出します。
- 伏せる情報を決める:顧客名、特定できる固有名詞、具体的な金額を拾い出します。
- 置き換え先を決める:それぞれを業種・規模・地域のどれで表現するかを決めます。
- 記事を書く:置き換え後の言葉で、最初から文章を組み立てます。
- 公開前に確認する:伏せたはずの情報が残っていないか、組み合わせで特定できないかを見直します。
この一覧を社内のルールとして残しておけば、書き手が変わっても同じ粒度で発信できます。属人的な判断に頼らずに済むのが、ルール化の利点です。
公開前のチェックポイント
置き換えのルールを決めても、最後の確認は欠かせません。私たちが公開前に見ているのは次の点です。
- 顧客名・社名が残っていないか:本文だけでなく、画像やキャプションも含めて確認します。
- 固有名詞から特定できないか:製品名や地名など、単体では問題なくても特定につながる語がないかを見ます。
- 金額が書かれていないか:規模で語るべきところに、具体的な金額が紛れ込んでいないかを確認します。
- 組み合わせで特定できないか:業種・規模・地域を細かくしすぎると、組み合わせで絞り込める場合があります。置き換えの粒度が細かすぎないかを見直します。
特に最後の点は見落としがちです。一つひとつは匿名でも、重ねると特定できてしまうことがあります。迷ったら一段粗い粒度に置き換える、というのが安全な判断です。
よくある質問
Q. 導入事例ブログで顧客名を出さずに具体性を保つには? 顧客名や固有名詞、具体的な金額は伏せ、業種・規模・地域に置き換えます。何を伏せるかと同時に何に置き換えるかを先に決めておくと、読者が自社に重ねられる具体性を残したまま、顧客の特定を避けられます。
Q. 事例記事で金額を書けない場合はどう表現すればいい? 具体的な金額の代わりに、業務や仕組みの規模で示します。当ブログでは「約14,000行のExcel VBA」のように規模は示しつつ、社名や金額は出していません。規模が伝われば、読者は自社との近さを判断できます。
Q. 事例記事の匿名化ルールはいつ決めるべき? 記事を書き始める前に決めるのが理想です。書き終えてから伏せ字にすると、文章が抽象的になり大事な情報まで抜け落ちがちです。伏せる項目と置き換え先を一覧にしておけば、書き手が変わっても同じ粒度で発信できます。
まとめ
- 実案件の一次体験は、読者が自社に重ねて判断できる価値の高い情報
- 発信では、顧客名・固有名詞・金額を出さない
- 伏せた情報は業種・規模・地域に置き換え、具体性を残す
- 守秘と具体性を両立させる鍵は、置き換え先まで書く前に決めておくこと
RENOYでは、業務の自動化やAI活用の支援だけでなく、取り組みをどう社内外に伝えるかのご相談も承っています。私たちの実案件の進め方や、似た業種・規模の会社でどんな取り組みが考えられるかも、無料相談でお話しできます。まずはお気軽に無料個別相談(オンライン・60分)をご利用ください。サービス内容をまとめた資料は資料請求からご覧いただけます。
